第2章お金に困らないために知っておきたい資産形成のキホン
仕事と両立するには、手間がかかる投資はダメ
投資対象を選ぶ場合、リスクとリターンの関係だけでなく、物理的な手間暇や心理面についても検討すべきです。
例えば、株式への投資は確かに簡単にできるようになりましたが、意外に値動きが激しく、自分が買った株が急落しているときなどは毎日、気が気ではありません。一日何回となくスマホで株価をチェックしたり、逆に「もうどっちでもいいや」と忘れようとしてみたり、心理的な葛藤を経験する個人投資家は多いのです。
多くの投資家の心理が市場を形成する
株式のほか外国為替(FX)もそうですが、多くの投資家が参加して市場価格が形成され、それが毎日秒単位で動いている投資商品は、どうしてもこういう状況に陥りがちです。
いろいろな情報を集め、自分なりに分析し、「相場はこう動くはず」と予想しても、なかなか思い通りにはいきません。「相場はときに行き過ぎる」とよく言われるのですが、多くの投資家が参加している場合は、相場の形成に投資家の心理が深く影響しているものです。
投資心理に関して、「プロスペクト理論」という、ノーベル経済学賞を受賞した学者たちが提唱した説があります。簡単にいうと、人は利益から得られる満足より、同じ額の損失からの苦痛のほうを大きく感じるというものです。
例えば、最初の投資で100万円儲けたものの、次の投資で100万円の損失が出たとします。その時点で損益はプラス・マイナス0のはずなのですが、100万円損した苦痛のほうが100万円儲かった満足より強く、心理的には「100万円儲かっていたのにフイになった‼」と大きなショックを受けてしまうのです。
投資家を蝕む心理的負担
その結果、含み益が出ると臆病になってすぐ利益を確定しようとしたり、逆に含み損が出た時は損失を確定(損切り)するより、なんとか粘って含み損が少しでも減るのを待とうとしたりしてしまいます。
こういう投資心理に陥ると、勝つときの儲けは少なく、負けるときは大きく損し、さらに含み損がでると塩漬けにしがちなので、資金効率が悪く、トータルのリターンも低下してしまいます。
相場が下がるとショックは大きいもの。せっかくの資産形成が仕事に悪影響を及ぼしては、元も子もありません。