医師一家の生前対策

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13のテクニック

テクニック3
所得が多い開業医は病院を法人化する

キャッシュを持つリスクは大きい。収入によっては法人の方が有利!?

 開業医のなかには病院を法人化していない人もいるでしょう。個人開業の場合は、病院の利益がそのまま開業医の収入になります。そして、所得の額に応じて所得税を支払います。

 もし、病院の利益が大きい(開業医の所得が大きい)のであれば、法人化することをおすすめします。そのほうがメリットが大きいからです。

 まず、収入が多いと、どんどんキャッシュがたまっていき、相続財産を膨らませてしまいます。法人化して、法人から役員報酬をもらう形にすれば、報酬額を自分で決めることができます。所得が多くなりすぎないようにコントロールし、所得税の負担を減らせばいいのです。

 法人は利益に応じて法人税を支払うことになりますが、基本的に所得税よりも負担額は少なくなります。法人税と所得税の税率表の通り、900万円を超えるあたりから法人税のほうが税率は低くなります。法人税は最高税率が23・4%であるのに対し、所得税は45%にもなるのです。

 日本の法人税は諸外国に比べて高めになっており、企業に国際競争力をつける目的で、国は法人税を引き下げる方向性を打ち出し続けています。平成28年度にも引き下げられたばかりですが、今後さらに引き下げられる可能性も高いといわれています。

 単純に「所得が何円以上なら法人化したほうが得になる」とはいえませんが、ざっくりとしたラインでいえば、4000万円以上の所得のある個人開業医の場合は、法人化を検討する価値はあるでしょう。

 もう一つ、法人化すると、いろいろなものを経費扱いにしやすいというメリットもあります。

 たとえば保険料です。個人の場合、保険料は個人年金の部分の控除と合わせても、年間最大10万円しか控除を受けられません。保険料が100万円でも控除は10万円だけです。

 これに対して、法人になると保険料の全額もしくは1/2、1/3、1/4が経費として認められます。全額か1/2か1/3か1/4かは保険商品によりますが、保険料自体には上限はありません。資金繰りが可能なら1億円でも10億円でも加入でき、その全額もしくは一部を経費にできるのです。

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