医師一家の生前対策

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13のテクニック

生命保険活用で相続対策

医師の相続を考えるときの強い味方・生命保険。しかもその効果は、医療法人のケースではさらに大きなものとなります。

医療法人でこそ活きる生命保険

 生命保険が相続対策のツールとして有効であることはよく知られています。医業継承・相続税圧縮・争族対策のいずれに対しても利用法は各所で紹介されているので、ご存じの方も多いでしょう。 しかし、医業の業態によってはさらに有効な使い方が可能である保険が存在します。あらためて保険の特徴と役割についての理解を深めましょう。

保険の種類と特徴

 まず相続のための強力なツールとして活用できる生命保険の種類、なかでも医療法人に活用できる2種類の保険とそれぞれの特徴、活用のポイントをまとめます。

定期保険

 保障される期間が、60歳、70歳などと定められ、満期があらかじめ決められている保険です。基本的には保険料は掛け捨てになっていることが多く、保険料が安価な分、保障期間が過ぎてしまうと、保証契約が終了し一銭も保険金はもらえません。特に法人向けとして相続対策などに活用できるのは次のような保険です。

逓増定期保険

 企業や法人のための定期保険。個人の定期保険と同様、保障期間が終了後の保障はありません。ただし期間内の保険料が増額されること、契約者が法人であり、1/2程度の保険料が損金扱いとなるので、貯蓄性が高いもの。相続時期と解約時期を合わせて各種の相続用資金として活用できるという特徴があります。

長期平準保険

 逓増保険とおなじく企業向けの生命保険で、満期保険金がありません。95歳、99歳、100歳とその名の通り、保障期間を長く設定することが出来ます。契約期間の前半では徐々に解約返戻率があがっていき、ピークを迎えると下がっていくのが特徴。返戻金の多い時期を引退時期などと設定することで、多くの資金を確保することが可能です。

 個人向けの定期保険との違いは貯蓄性の高さと恣意的に解約時期をコントロールできるところ。一方で、これらの保険を相続に活用するにあたっては、スケジュールや相続のどのような部分に活用するかなどを丁寧に準備する必要があります。導入にあたっては、専門家などとの打合せが効果的な保険です。

終身保険

 定期保険とは反対に、被保険者が死ぬまで一生涯続くタイプの保険です。契約後であればいつ亡くなっても保険金は支給されます。解約返戻金や保険金は法人契約であれば法人宛、個人契約であれば受取人個人に支払われますので、こちらも相続形態やタイミングを考慮して活用すべきです。また、契約から時間が経てば経つほどに解約や満期で戻ってくるお金、返戻率が上昇。簡単にいえば、長生きすればするほど亡くなったときに保障されるお金が多くなります。ただし解約返戻金は逓増定期などと比べて低く、途中解約以外、保険加入者が亡くなるまで、お金が給付されないというデメリットがあります。定期保険の掛け捨てに対して、貯蓄型とも呼ばれます。

養老保険

 バブル期に大々的に売り出されていた、貯蓄と保障が同時に行えることが売りの商品です。あらかじめ定められた期間になると現金化されてしまうので、相続対策に利用するには時間的な融通性がありません。保証期間内に亡くなったときと、満期を迎えたときの保証金が同額であることが目玉でしたが、ゼロ金利下の養老保険は金利が低く設定されているため、かつてのような高リターンのメリットも消え失せています。

 基本的に相続対策に活用できる保険は、生命保険のみと考えられます。ただし、人生のリスクへの対応という考え方でいえば、医者であっても相続対策に限らずその他の保険に対するある程度の認識は必要と考えられます。一応、代表的な保険について述べておきます。

個人年金保険

 引退後、第二の人生を送るための保険として、社会的に近年大きな注目が集まっているのが個人年金保険です。確定年金、変動年金の2種類、定期型と終身型があります。

傷害保険

 不慮の事故で怪我をしたり亡くなった場合に保障されます。病気に掛かった場合は適用外であることに注意。

医療保険

 病気や怪我で入院、手術を行った場合に公的医療保険でカバーできない部分に対して給付金を支払う保険です。

所得補償保険、収入補償保険

 サラリーマンや自営業者などが病気や怪我によって仕事ができなくなったときの収入減に備える保険が所得補償保険です。同様に、死亡した場合の収入減対策となるのが収入補償保険となります。

 これらの保険は、生きている内に発生するリスクをカバーするものです。自分のリスクが何なのかを考え、それをカバーするために加入することが節約となり、相続時により多く資産を残すことにもつながります。

医療法人での活用ポイント

 医療法人で生命保険を活用するメリットは、相続発生の時期に合わせて資産をコントロールできることです。

 つまり、相続発生のタイミングで保険を解約し返戻金を受け取れることが最大のメリットとなります。法人向けの定期保険である逓増定期保険、長期平準定期については、返戻金率がもっとも高くなる時期があります。そこで得られた資金を、相続においてどのように活用するかを十分考慮したうえで事前に準備することが大切です。

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