医師一家の生前対策

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相続トラブル事例

ケース3 遺産分割の偏りで、非医師の子から不満が噴出(ポイントを解説)

ポイント1遺留分を侵害すると争族のリスクが跳ね上がる

 開業医の相続では、病院関係の資産を後継者に持たせることになります。出資持分をはじめ、病院の建物や土地を被相続人が個人で所有している場合は、それらも基本的には後継者に渡ります。すると、後継者の相続分が圧倒的に多くなり、後継者以外の子の遺留分を侵害してしまうことがあります。

 遺留分というのは、相続人が「最低でもこれだけはもらえる」という法的な保障のことです。その割合は、直系尊属のみの場合は法定相続分の1/3、兄弟姉妹にはなし、それ以外の場合は1/2となっています。

 被相続人も相続人も、他人の遺留分を侵害することは許されません。相続する本人が、遺留分より少ない取り分でもいいと了承している場合のみ、遺留分を超えての分割が可能になります。

 もし遺留分を侵害されて納得がいかないという場合は、「遺留分減殺請求」を行使することができます。行使可能な期限は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったと知った日から1年以内です。遺留分が侵害されていることを知らずに相続の開始から10年が経過してしまうと、時効になってしまい行使することはできません。

 遺産分割は法定相続分に従っても従わなくても構わないのですが、遺留分を超えての分割は争族になりやすいことを考えると、基本的にはおすすめできません。どうしても遺留分の侵害が起きてしまう場合は、侵害される子に対して、「なぜ、こういう分割になったか」をきちんと説明し、納得を得るように言い含めておくべきです。生前に話すことが難しくても、せめて遺言書にはしたためておきましょう。

ポイント2遺産を少なくもらう子へのフォロー

 遺産が少なくなる子へのフォローとしては、病院関係以外の資産を渡すのが通常です。たとえば現預金を多めに渡したり、収益不動産を購入して贈与したり、生命保険金が入るようにしたりといった対策があります。

 ほかには、遺産を多くもらった子から少なくもらった子に金銭を渡し、不公平の埋め合わせをするという方法もよく行われます。これを「代償分割」といいます。

 遺産分割の偏りは、相続税がかかる、かからないにかかわらず、どの相続にも起きてくる可能性がありますから、どこの家庭でも代償分割について考えておく必要があるでしょう。

 まず大前提として、代償分割で支払われるお金(代償金)は、支払う側の財産から出さなくてはなりません。無責任な税理士が「相続した預金を代償分割に充てればいい」などとアドバイスをすることがありますが、それは代償分割にはなりません。被相続人が相続した現金・預金から支払うと、贈与とみなされ、贈与税を払うことになってしまいます。

 代償分割をすることになるか否かは、対策の段階で分割を考えるときに大体予想がつきます。必要であれば、親は代償金を支払うことになる子に対して、十分な原資を渡しておいてあげなくてはなりません。代償金対策としては、生前贈与で十分なキャッシュを渡しておく、その子を受取人にして生命保険に入っておく、信託を使って確実にキャッシュが渡るようにするなどがあります。

 どうしても代償金が捻出できない場合は、金融機関からの借入や分割払いなどで支払っていくことになります。

 代償金をもらう側は、支払う側の重い経済的負担を理解する必要がありますし、それを理解させるのは親の役割だといえるでしょう。

ポイント3一辺倒ではない、相続における「兄弟平等」

 争族のリスクを小さくするという意味において、「相続は兄弟平等に」という考え方はとても大切です。ただ、何をもって平等と考えるかは各家庭で違ってきます。

「金額的な額が同じになるように遺産分けをする」ことが平等であるとする考え方もあれば、「責任の重さに応じて遺産額を変える」ことが平等であるという考え方もあります。

 たとえば、後継者には病院を守っていくという重い責任がかかりますから、その分、多くの資産を与えるのが平等かもしれません。

 医師の子に多くを与えると非医師の子から文句が出やすい傾向はありますが、非医師の子にぜひとも知っておいてもらいたいのは、「そもそも出資持分というのは換金性がない」ということです。金額として見ると大きく見えますが、実際には現金化できない性質のものですから、自分のお金としては1円も使えません。むしろ、それを引き継ぐために相続税を背負わなくてはならないのです。そう考えれば、病院経営の苦労もなく、相続税負担も軽く、現金など自分で使える資産で何千万円かもらえた非医師の子のほうが、はるかに恵まれているともいえます。その点を、後継者でない子には理解してもらいたいものです。

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