売却で投資全体の利益が確定。
利益を高めるには?
収益物件の活用は取得、管理運営、そして最終的に売却して利益が確定します。取得価格があって、保有期間に収益が入り、最後に売却をしていくらの利益が出たか、損失が出たかがはっきりするのです。
特に、利益が出ている(キャッシュフローを得られている)からいいとしてしまうことが多いのですが、最後に元金(物件価格)が下がっていてはトータルで損失になってしまうこともあります。
この一連の流れを理解して収益物件の活用を行う必要があります。
では、具体的に売却をどのような形で迎えればいいのでしょうか。
売却の形は大きく2つです。アパートをアパートとして売るか、もしくは更地にして売るかです。
これは、物件の価格が決まる基準によって異なります。
価格が決まる基準になるのは、物件の収益性(利回り)あるいは資産価値(土地値)の2つで、いずれかの高いほうです。
どちらの基準で価格が決まっているかによって、売り方は異なります。収益性で決まっている物件はアパートのまま売るほうが高く売れます。一方、資産価値(土地値)によって価格が決まっている物件はできるだけ更地に近い状態で売ることで高く売れます。
つまり、自分の物件の価格がどちらの基準で決まっているのかを理解しなければ、最適な売り方もわからないということです。
収益性の物件では、言葉のとおり収益性で価格が決まってきますので、できるだけ賃料を高く、かつ入居率を高くする必要があります。逆に資産価値の物件は、取り壊しのためには入居者がいないほうがいいのですから、新規の入居者を入れないだけではなく、既存の入居者にもトラブルなく出ていってもらう必要があるのです。
では、売却価格をより高くするための、具体的な方法を見ていきましょう。
よほどお金をかけて物件をきれいに保たなければとお考えになることでしょう。実際、お金をかけなければ賃料を上げるどころか、維持することもできません。
では、どの程度お金をかければいいのかを具体的に見ていきます。
例えば、通常50万円で行う原状回復工事を、100万円かけてより丁寧に行うことで賃料が1万円上がるとします。
この物件が利回り8%で売却できるとすると
1万円×12ヶ月 ÷ 8% ⇒ 150万円
150万円高く売れるということです。そして、そのために要したコストは、通常より余計にかけた50万円ですから、差し引き100万円のプラスとなります。これは物件を高く売るための基本的な方法であり、投資するべきかどうかの判断基準となります。
次に資産価値の物件です。資産価値の物件は、買い主は更地を求めていますので、できるだけ更地に近い状態にすることです。
厳密には、更地価格から更地にするためのコストが減額要因となってしまいます。更地にするためのコストとは、入居者の退去費用や、建物の解体費用が主なものです。そのなかでも、日本の借地借家法においては入居者が強く保護されていますので、退去費用には数百万~1000万円単位など、多額のコストがかかる場合があります。
コストをかけずに入居者に退去してもらう方法としては、定期借家契約があります。売却することがある程度見えているようであれば、入居者を募集する際に、定期借家契約を結ぶのです。そうすることによって、定期借家の期限が来れば、自動的に退去してもらうことが可能となります。
売却を考える場合には、売却予定の時期に合わせて定期借家契約を早い段階から導入するべきです。