オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第2章毎月の賃料で収入が安定。
万が一の経営危機も乗り切れる

利回り、土地代、流動性と立地の関係

 イザというときに売れる物件とは、「流動性」の高い物件です。ここでいう流動性とは、投資商品の売買のしやすさを表す言葉です。公設市場で売買される株などの商品は流動性が高く、逆に不動産のように売り手と買い手が相対で売買交渉をするような商品は流動性が低くなるのが一般的です。

 さらにいえば、株のなかでもトヨタやパナソニックといった出来高の多いメジャー銘柄は流動性が高い一方、一日に数単位の約定(取引成立)しかないような流動性の低いマイナー銘柄もあります。急に現金が必要になって株を売ろうとしても、流動性の低い銘柄では希望金額での売買が難しいこともあります(安い金額で売りに出さなければ買い手がつかないなど)。

 同じことが、収益物件にも当てはまります。

 貯蓄、つまりいつでも換金できることを優先して収益物件を活用する場合、流動性の高い物件を選んで活用すべきだということです。収益物件で流動性の高い物件とは、買いたいと思う人が多い物件です。例えば都心部の物件などですが、なかでも東京都心部の物件が流動性は最も高くなります。都心部の物件は土地代(坪単価)も高くなります。つまり土地代の高いエリアほど流動性は高くなるので、土地代と流動性は比例関係になります。

 一方、一般に流動性・土地代と利回りは反比例の関係にあります。

 端的にいえば、人気のある都心部ほど流動性・土地代が高く、利回りは低くなりがちで、逆に地方ほど流動性・土地代が下がる分、利回りは高くなる傾向があるということです。

 具体的に、年間600万円の賃料収入が入るアパートを例に考えてみます。東京の六本木であれば、物件価格1億円でも買い手がいるでしょう。このとき表面利回りは6%です。

 しかし、同じ年間の賃料収入600万円のアパートが埼玉県の大宮にあるとしたら、1億円で買い手がつくでしょうか。結論をいえば、おそらく1億円では難しいでしょう。物件価格が7000万円であれば売れるかもしれません。このときの表面利回りはおよそ8・6%で、六本木のケースより高くなります。

 同じ賃料収入であれば、需要と土地代の高い六本木では物件が高値でも買い手がいるものの、大宮では物件価格を下げないと、買い手にとって魅力がないということです。

 さらに、この物件が栃木県の宇都宮市にあれば、7000万円でも買い手がつかず、5000万円ほどになってしまうかもしれません。利回りは12%とさらに高まります。

 このように、都心に近いほど買い手が多い=流動性が高く、都心から離れるほど買い手が少ない=流動性が低くなる構造がおわかりいただけると思います。

 利回りは地方ほど逆に高くなりますが、空室のリスクも高くなる(入居率が低い)ことには留意しなければなりません。投資にあたっては、利回り、土地代、流動性、そして入居率(空室率)を目的に応じて見極めることが重要なのです。

 流動性を優先して収益物件を保有する場合は、その代わりとして一般的に利回りは抑えられる傾向となり、得られるキャッシュフローも少なくなります。

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