医師一家の生前対策

第5章相続を乗り切り医業を
永続させることは、
地域社会における医師一家の使命

医業承継の成功は、
呼吸の合った親子のバトンパスによって実現する

 病院の承継で代替わりするときは、シームレスな引き継ぎをしていただきたいものです。「今日、子に承継して明日から自分は病院に来ない」というのでは、後継者も不安ですし、従業員や患者も戸惑ってしまいます。その不安や戸惑いは必ず経営の不安定となって現れます。

 陸上のリレーのバトンパスのときには、走者のスピードを落とさないようにバトンゾーンがあります。バトンゾーンでは前走者も次走者も一緒に走りながら、タイミングを合わせてバトンを受け渡しします。

 病院の承継でも、ぜひ引き継ぎの期間を設けて、経営力を落とすことなく確実にバトンパスをしていただきたいのです。

 一般に事業承継には5~10年の時間が必要といわれています。病院の規模や経営状況などにもよりますが、後継者選び、育成、後継者を中心とした新しい組織の体制づくりなどをするのに早くても5年ほどかかります。これに加えて入念な税金対策、資産移転などをしようと思うと、10年くらいはかかってしまいます。

 5~10年のスパンで承継の準備をしてください。そして、実際の診療もしばらくは親子で行うことをおすすめします。親は毎日病院に来なくても構いません。最初は2日に1日、後継者が慣れてきたら3日に1日、週1日……というように、少しずつ病院に来る日や時間を減らしていき、緩やかにフェードアウトしていくのが理想です。「気づいたら、前院長がいなくても大丈夫になっていた」と後継者や従業員たちが言うくらい、自然な形で承継ができるといいでしょう。

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