医師一家の生前対策

第4章弁護士、FP、相続診断士……
産と家族の状況に合わせた、
相続のプロの活用術

一家の運命を預けられる、最良のパートナーの見つけ方

 相続は〝一家の命〟にかかわる重大な問題です。病気をしたときに医者選びが大事なのと同じくらい、相続ではパートナー選びが大事です。

 医者が患者の身体や生活習慣を隅々まで調べるように、相続ではパートナーがあなたの一家の人間関係から財産、将来設計、家族の問題点などを、隅々まで調べます。そして、医師が効果のある薬を処方したり、メスで悪いところを手術して切り取ったりするように、パートナーが対策を講じたり、トラブルの種を取り除いたりなどを指南していきます。下手な医者に治療や手術を任せると、後遺症が残ったり命を落としたりする危険もあります。相続でも下手なパートナーに任せてしまうと、一家がバラバラになったり、医業承継に失敗したり、相続税で苦しんだりします。そうならないためにも、パートナー選びは慎重に行ってください。具体的にはどうすればよいのでしょうか。

 今は資産家向けの相続の無料相談会やセミナーなどが各地で開かれています。まずは、そういうところに足を運んでみて、「様子をうかがう」ことをしてみるといいと思います。その場でパートナーを見つけようと思わなくても、相手の雰囲気を見るとか、どんな相談に乗ってくれるのか、相談料やコンサルタント料の目安がどれくらいかなどを、ざっくりと感じることから始めるとよいと思います。

 何度か行ってみると、得体の知れなかった「相続」が何となく、薄ぼんやりと見えてきます。実体を感じれば本気で向き合う気持ちも湧いてくるでしょう。

 相手が良いパートナーかどうか、自分に合ったパートナーかどうかは、表面的には分かりません。無料相談のうちは相手もそんな突っ込んだ話はしてくれませんから、本当のところは分かりませんが、「この人はちょっと違う感じ」「わりと話しやすい」などの全体的な雰囲気や相性は第一印象のほうが当たる場合もあります。相性の良さそうな人のなかから、本当の味方になってくれる人を絞っていくと、失敗が少ないかもしれません。

 インターネットで調べるという方法もあります。「相続、開業医、医業承継」などのキーワードで検索すれば、開業医専門のアドバイザーは少ないですが出てくるはずです。

 最初の相談は無料で受けているところもあると思うので、いくつか問い合わせてみるのもいいと思います。そのとき大事なのは、肩書だけで選ばないことです。「税理士だから大丈夫」「ファイナンシャルプランナーだから生保に強い」という思い込みが危険であることは、前にも述べたとおりです。

 良いパートナーが向こうからやって来てくれることは、なかなか難しいことですから、自分の選ぶ目も磨きながらパートナー探しをしてください。

 知り合いのつてで紹介してもらうというのも、一つの手です。具体的にどんなことをしてもらったのか、どれくらいの期間でどれくらいの費用がかかったのか、頼んでよかった点や気になった点などを聞いてみるといいでしょう。

 ただし、知人にとっては良かった人でも、あなたのケースでもマッチするとは限りません。特に開業医の相続は一般の相続より難しくなりがちで、また、同じ開業医であっても個別性がまったく違うので、知人のおすすめだからと最初から安心するのは早いと思います。焦らず何度か会ってみて、納得してからお願いするのが無難です。

 誰に頼むにしても、正式に依頼する前にセカンドオピニオンは取るようにしてください。

できれば、サードオピニオンくらいまで取りたいところです。大切な問題だからこそ、何重にも慎重にチェックをしていただきたいのです。

 ポイントとしては、次のようなものがあります。相手があてはまる場合は要注意です。

  • 開業医の相続、医業承継をやった実績が少ない
  • 契約を急いでくる、強引に何かを決めさせようとする
  • 説明が不親切で分かりにくい、こちらが分かっていなくてもおかまいなしに話を進めてしまう、質問すると面倒くさそうにする
  • 一つの対策や答えしか教えてくれない(いろいろな選択肢を示してくれない)
  • その対策をすることの効果やメリットだけ言い、副作用やデメリットについては言ってくれない
  • 提案だけして、その先の相談に乗ってくれない(たとえば、A案とB案がありますとだけ示して、どちらを選べばいいかを一緒に考えてくれない)
  • 報酬の根拠が曖昧だったり、どんぶり勘定だったりする(一カ月いくら、など)
  • 計画書やシミュレーション資料などを示してくれない
  • 節税のみ、遺族間争いの回避のみなど一面的な対策しか示せない、相続後のことまで視野に入れた計画になっていない
  • 相続の話しかしない(相続後にトラブルが起きた場合のフォローや責任を考えていない)
  • 困ったときに来てくれない、こちらに共感してもらえている感じがしない
  • 税理士、弁護士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士、銀行など、他分野の専門家とのネットワークがない
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