医師一家の生前対策

第2章莫大な相続税で破産、
子どもの跡継ぎ争いで家族崩壊……
医師一家を襲う悲劇 5つの事例

病院を潰すよりは第三者への承継を考えるべき

 後継者不在になってしまう理由として、Dさんのように「医師の子が跡を継ぎたがらない」というほかに、「医師免許を持つ子がいない」「そもそも子がいない」ケースがあります。

 そういうときは、

  • ①養子をとって医師に育てる
  • ②すでに医師になっている者を養子に迎える
  • ③子が医師と結婚し、配偶者に継がせる

 といったこともできます。ただし、養子を迎える場合は、実子との間で感情のもつれが生じやすいという問題があります。

 親族のなかに医師免許を持つ人がいれば、その人を招いて理事長になってもらうとか、まったくの他人に理事長を継いでもらうことも可能です。そういう場合は、役職だけ「理事長」を継いでもらいます。いわゆる、雇われ理事長です。そして、出資持分は相続人に持たせます。理事長は医師免許がないとなれませんが、平理事なら免許がなくてもなることができます。

 これらができない場合は、DさんのようにM&Aという選択肢もあります。M&Aは、希望する相手に出資持分を買い取ってもらうことで、病院を承継する方法です。これなら廃院にかかるコストが必要ないだけでなく、病院の売却利益が入ってきます。また、病院を潰すことなく地域に存続させられます。

 ほかにもM&Aをすることにはいくつものメリットがあり、最近は積極的・前向きな意味合いで〝あえてM&Aを選択する〟開業医も増えてきました。近い将来、M&Aは医業承継のトレンドになるだろうともいわれています。

 親子で承継できないからと病院を潰してしまうより、誰か第三者に病院を継いでもらうほうが多方面でメリットが大きいですから、最後まで承継を諦めないことが大切です。

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