医師一家の生前対策

第2章莫大な相続税で破産、
子どもの跡継ぎ争いで家族崩壊……
医師一家を襲う悲劇 5つの事例

遺産を少なくもらう子へのフォロー

 遺産が少なくなる子へのフォローとしては、病院関係以外の資産を渡すのが通常です。たとえば現預金を多めに渡したり、収益不動産を購入して贈与したり、生命保険金が入るようにしたりといった対策があります。

 ほかには、遺産を多くもらった子から少なくもらった子に金銭を渡し、不公平の埋め合わせをするという方法もよく行われます。これを「代償分割」といいます。

 遺産分割の偏りは、相続税がかかる、かからないにかかわらず、どの相続にも起きてくる可能性がありますから、どこの家庭でも代償分割について考えておく必要があるでしょう。

 まず大前提として、代償分割で支払われるお金(代償金)は、支払う側の財産から出さなくてはなりません。無責任な税理士が「相続した預金を代償分割に充てればいい」などとアドバイスをすることがありますが、それは代償分割にはなりません。被相続人が相続した現金・預金から支払うと、贈与とみなされ、贈与税を払うことになってしまいます。

 代償分割をすることになるか否かは、対策の段階で分割を考えるときに大体予想がつきます。必要であれば、親は代償金を支払うことになる子に対して、十分な原資を渡しておいてあげなくてはなりません。代償金対策としては、生前贈与で十分なキャッシュを渡しておく、その子を受取人にして生命保険に入っておく、信託を使って確実にキャッシュが渡るようにするなどがあります。

 どうしても代償金が捻出できない場合は、金融機関からの借入や分割払いなどで支払っていくことになります。

 代償金をもらう側は、支払う側の重い経済的負担を理解する必要がありますし、それを理解させるのは親の役割だといえるでしょう。

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