医師一家の生前対策

第2章莫大な相続税で破産、
子どもの跡継ぎ争いで家族崩壊……
医師一家を襲う悲劇 5つの事例

遺留分を侵害すると争族のリスクが跳ね上がる

 開業医の相続では、病院関係の資産を後継者に持たせることになります。出資持分をはじめ、病院の建物や土地を被相続人が個人で所有している場合は、それらも基本的には後継者に渡ります。すると、後継者の相続分が圧倒的に多くなり、後継者以外の子の遺留分を侵害してしまうことがあります。

 遺留分というのは、相続人が「最低でもこれだけはもらえる」という法的な保障のことです。その割合は、直系尊属のみの場合は法定相続分の1/3、兄弟姉妹にはなし、それ以外の場合は1/2となっています。

 被相続人も相続人も、他人の遺留分を侵害することは許されません。相続する本人が、遺留分より少ない取り分でもいいと了承している場合のみ、遺留分を超えての分割が可能になります。

 もし遺留分を侵害されて納得がいかないという場合は、「遺留分減殺請求」を行使することができます。行使可能な期限は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったと知った日から1年以内です。遺留分が侵害されていることを知らずに相続の開始から10年が経過してしまうと、時効になってしまい行使することはできません。

 遺産分割は法定相続分に従っても従わなくても構わないのですが、遺留分を超えての分割は争族になりやすいことを考えると、基本的にはおすすめできません。どうしても遺留分の侵害が起きてしまう場合は、侵害される子に対して、「なぜ、こういう分割になったか」をきちんと説明し、納得を得るように言い含めておくべきです。生前に話すことが難しくても、せめて遺言書にはしたためておきましょう。

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