医師一家の生前対策

第2章莫大な相続税で破産、
子どもの跡継ぎ争いで家族崩壊……
医師一家を襲う悲劇 5つの事例

持分あり法人と持分なし法人の違い

 医療法人の制度についておさらいしておきます。

 医療法人には平成19年の医療法改正前に成立した法人と、改正後に成立した法人の2つが存在します。改正前に成立した法人(旧法人)は「持分あり」法人と呼ばれます。改正後に成立した法人(現法人)は「持分なし」法人と呼ばれ、今後は後者しかつくることができません。

 さて、両者の違いは、医療法人の財産権を持っているか、持っていないかにあります。もっと分かりやすく言うと、医療法人の余剰金が法人のオーナーに帰属するか、帰属しないかです。

 持分あり法人の場合は、法人の余剰金が出資者の財産になるため、相続のときにはこれを相続財産として扱わなければなりません。Bさんのように利益をたくさん上げている病院では余剰金が億単位に膨らんでいることも珍しくなく、結果的に相続税を巨額にしてしまいます。これは、出資持分には「配当が出せない」「換金性がない」という特性があるからです。

 これに対して持分なし法人では、法人がいくら利益を上げようと出資者の財産には反映されず、当然のことながら相続税にも影響はありません。

 それならば、今の「持分あり」から「持分なし」へ移行すればいいと考えるかもしれません。しかしこれにもメリットとデメリットがあり、移行するとデメリットのほうが大きくなってしまうケースもありますので注意が必要です。

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